あたりまえの事であるが、リニューアルを実施さえすれば売上が上がるわけではない。ましてや、大金をかけてリニューアルした結果、以前よりも売上を下げてしまった某書店や某堂の話を何度も聞くと、なおさら慎重にならざるを得ない。
投資は、それに見合う分を必ず取り戻すことが大前提となるからだ。
今回のリニューアル計画は、Yショッピングセンタが20周年を向かえて、全面改装を行うことになったことから始まった。
T書房Y店はこの店舗の西館3階に開店当初から100坪で営業していた。
当初は、同じ場所でのリニューアルというYショッピングセンタの方針に従い、売上を上げることを目的に改装を行う計画が進められていたのである。
ところが、昨年の暮れになって突然、書店とCDは5階へ移動するという計画が提示されたのである。書籍の面積は同じ100坪とのこと。
工作と移動の日々
−Mainzクラフト、リニューアルの一ヶ月−
2002年3月「新文化」1面掲載の記事に一部手直しをしました。
Mainz
この場所は10年ほど前になるが、T書房が主催した児童書展示会に展示会場としてYショッピングセンタに参加していただいたことがある。ここで3年3回の展示会を開催したが、この場所までお客様を誘導するのに大変な努力が必要であった。
風船や着ぐるみ、読み聞かせ、じゃんけん大会など、この時の経験がT書房の集客イベントの基礎となっている。そういう場所であった。
全員が大工!ハンドメイドの改装!
3階から5階に移動することにより、売上状況としては2割から3割の減少が予想された。売上が下がることが分かっているのに新たな投資は資本の論理に反する。
しかも、5階に移動した後にそこで仮営業を行い、その後Yショッピングセンタ側の補修工事に伴い一部を明け渡し、商品構成を変更して売り場面積を縮小する。
更に当社の電気、床、壁工事のために売り場内を棚移動する。
最後に新店舗のための棚移動と新規什器の搬入を行い陳列し直すというかなり無理な計画だ。これを1ヶ月のうちに行わなくてはならない。
その間もなるべく営業を継続したかった。休業はお客様を失うことにつながる危険性が高い事と、3階から5階へ移動という状況に対応するためにも、営業を続けることが最善だと考えた。
以上の条件を満たすために、計画と実行のほとんどを自分たちで行うことになった。変化する売り場の図面をいちいち業者に依頼して内装管理に届けていては間に合わない。
CADを使って書き上げた。
全店に緊急動員がかかった。